事業の内容等

(1)本年度事業の趣旨・目的等について

ⅰ)事業の趣旨・目的
     高機能なスマートフォンやタブレット端末(以下スマートデバイス)の普及と、大容量で非常に安価なストレージをベースとしたクラウド・コンピューティング・サービス(以下クラウドサービス)の出現により、便利で多様なアプリケーションが開発され、より広範囲なビジネス分野への応用・展開が進んでいる。クラウドサービスやスマートデバイスの機能を十分に活用したシステムの企画・提案、およびクラウド側のWebアプリやスマートデバイス上のアプリの設計・開発ができる人材はまだまだ大きく不足している。

本事業では、昨年度事業で実施した社会人の中級技術教育の続編として、アジャイルソフトウェア開発に関する上級技術教育の教育プログラムと実践的な教材を開発し、社会人技術者や教員を対象とした技術研修を行う。

また、昨年度事業で開発した社会人の中級技術教育の教育プログラムと教材を、実証事業の振り返りを反映してより効果的なものに再編集し、他地域において企業と連携して実証講座を実施する。

 

ⅱ)目指すべき人材像・学習成果【A】/教育カリキュラムを受講した生徒が目指す人材像【B】
     ソフトウェア開発に現在従事している技術者、および同技術者のレベルアップ教育に携わる専門学校教員を対象に、アジャイルソフトウェア開発の最新で実践的な技術・知識を研修し、中級および上級の中堅技術者に育てる。

 

(2)本年度事業の内容

ⅰ)会議
会議名① 実施委員会
目 的 事業の推進、統括管理
検討の

具体的内容

・事業方針策定

・プロジェクトおよび各委員会の進捗管理

・予算執行管理

・評価委員会との連携

・各仕様書の内容および業者選定の承認

・課題の検討

・成果報告会企画運営

・成果の活用および普及

委員数 8人 開催頻度 年3回程度

 

 

会議名② IT人材育成委員会
目 的 教育プログラム(教育カリキュラム、シラバス、教材)の開発の方針策定および仕様作成、実証講座の実施運営、効果の測定
検討の

具体的内容

・上級技術者教育プログラムおよび教材の開発仕様の検討と作成および開発業者選定

・アジャイルソフトウェア開発に関する上級技術者育成カリキュラムの内容、時間数、シラバスの検討

・上級技術者育成教材の領域・範囲・レベル・内容の検討

・上級Ruby on Rails教材の領域・範囲・レベルの検討

・昨年度事業で開発した中級教育プログラムおよび教材の見直しと再編集

・実証講座の要項(日程、時間、場所、講師等)の検討

・実証講座の受講対象の募集方法、募集先、説明会等の検討

・実証講座および説明会の実施運営の管理と効果の測定

委員数 12人 開催頻度 年5回程度

 

 

会議名③ 評価委員会
目 的 プロジェクトの評価
検討の

具体的内容

・評価項目、指標の検討

・成果物および実証内容の評価

・プロジェクトの実施内容の評価

委員数 3人 開催頻度 年3回程度

 

ⅲ)開発する教育プログラム(又は教育カリキュラム)

アジャイルソフトウェア開発に関する中堅技術者育成プログラム

①アジャイルソフトウェア開発に関する上級技術者育成プログラム(新規開発)

②アジャイルソフトウェア開発に関する中級技術者育成プログラム(昨年度開発済みの再編集)

 

開発する教育プログラム(又は教育カリキュラム)①

ア)名称
アジャイルソフトウェア開発に関する中堅技術者育成プログラム
イ)開発する教育プログラム(又は教育カリキュラム)の全体的な骨格
①アジャイルソフトウェア開発に関する上級技術者育成プログラム

 

●実践的な上級教育カリキュラム
上級教育カリキュラム及びコマシラバス(75時間程度)を開発する。

●中堅技術者向け実践的教材
上級教育カリキュラムと連動した教育教材を開発する。

昨年度に開発した中級教材の内容に、知識・技術の深化と演習課題の高度化を盛り込み、中上級技術者研修に利用できる実践的な教材とする。

②アジャイルソフトウェア開発に関する中級技術者育成プログラム

●実践的な中級教育カリキュラム
昨年度開発した中級教育カリキュラム及びコマシラバス(75時間)を再編集する。

 

ウ)開発に際して実施する実証講座の概要
【実証講座①】 上級技術者教育

○対象者
アジャイルソフトウェア開発に従事している中堅技術者で、より高度で実践的な技法を体系的に学びたい人

○期間(日数・コマ数)
1回  (1日7.5時間程度の研修を10日間で計75時間を予定)

○期間場所
大阪

○実施手法
今年度事業で開発する教育プログラムと教材を使った講義と演習

○想定される受講者数
15名

○受講者のうち就業、キャリアアップ、キャリア転換につながる者の目標人数
10名

 

【実証講座②】 中級技術者教育

○対象者
システム開発に従事している中堅技術者で、アジャイルソフトウェア開発の実践的な技法を体系的に学びたい人

○期間(日数・コマ数)
1回  (1日7.5時間程度の研修を10日間で計75時間を予定)

○期間場所
北海道札幌市

○実施手法
昨年度に開発した教育プログラムを再編集したカリキュラムと教材を利用し た講義と演習

○想定される受講者数
15名

○受講者のうち就業、キャリアアップ、キャリア転換につながる者の目標人数
5名

○説明会
受講者を集めるために、アジャイルソフトウェア開発の将来性、プロジェクト管理やバージョン管理ツールの利用およびテスト駆動型開発等の生産性や品質向上を目指す開発技法の説明や紹介を行う説明会を3回開催する。

 

エ)教育プログラムの有効性に関する検証手法の概要(職域プロジェクトAのみ)
評価は、評価委員会で実施する。具体的には、定量的評価として、受講者ごとに、アジャイルソフトウェア開発の業務に携わった月当たりのシェア(%)を、受講前後の各数ヶ月にわたり算出しその推移を見る。また、Rubyアソシエーションが実施するRuby技術者認定試験の受験者数と合格者数の研修後の推移も把握する。定性的評価としては、受講者が所属する企業の人事・研修担当者へのアンケートを実施する。アンケート項目・内容は、IT人材育成分科会で作成する。

 

(3)事業実施に伴う成果物(教材、シラバス、達成度評価基準等。成果報告書を除く)

実践的な上級教育カリキュラム(コマシラバス、達成度評価指標)

中堅技術者向け実践的教材

実践的な中級教育カリキュラム(コマシラバス、達成度評価指標)

 

(4)本事業終了後の成果の活用方針・手法

・一般社団法人Rubyビジネス推進協議会研修部会が30年度以降に実施する技術者研修に利用する。

・30年度以降に参画の専門学校が産学連携事業として計画する企業の人材教育に利用する。

・一般社団法人全国専門学校情報教育協会が30年度以降に実施する専門学校教員研修に利用する。

・IT人材派遣企業およびRubyアソシエーションと専門学校が連携した人材流動化促進事業に利用する。

 

昨年度に開発した中級の教育プログラムとその実証講座では、IT人材派遣企業が求める技術レベル育成には到達することができた。IT人材派遣企業と専門学校との技術研修連携の可能性を模索する中で、この教育プログラムを利用した技術研修事業で連携できるかどうかを提案する。

 

本年度事業と関連したこれまでの取組概要・成果及び本事業との継続性

  ⅰ)取組概要
     スマートデバイスの普及とクラウドサービスの発展により、Webアプリの知識・技術を有した技術者の供給と、利用者リテラシーの向上が求められている。

本事業では、平成27年度と28年度事業で開発した教育プログラムや教材を使い、社会人技術者(27年度・28年度)や教員(27年度)、キャリアアップを目指す女性技術者(27年度)を対象とした最新のソフトウェア開発技術の研修を行った。また、IT系以外の分野も含めた専門学校生対象の最新ICT利用者リテラシー教育(27年度)も実施した。同時に、この研修や教育の普及のために、専門学校教員を対象としたアクティブラーニング等の新しい教育手法やそのための教材開発方法の習得を目的とした研修会・研究会を実施した。

 

【アジャイルソフトウェア開発に関する中級技術者育成プログラムと教材】

アジャイルソフトウェア開発が最近脚光を浴びるようになってきて、まだまだその技術者が少ないことから、平成27年度はその普及に力点を置いてきた。そのために、入門的な初級の技術研修プログラムと教材を整備して、これからアジャイルソフトウェア開発を学ぼうという社会人技術者、専門学校教員、新入社員を対象に実証講座を実施した。サンプルとなるソースプログラムを多く提示し、それをベースに変更・追加を加える形式での講座実施で、効果的な技術習得と定着は図れた。

27年度に協力いただいた企業団体から、中堅技術者のスキルアップの要請があり、今後の専門学校に期待される教育内容であることから、28年度は中級技術者育成プログラムとして、研修カリキュラムと教材の開発を行った。内容としては、27年度までの初級講座で評価の高かった実際に利用されているソースプログラムをベースとした演習課題を中心に、プログラム言語や開発ツールの知識・技術の説明とプロジェクト管理・バージョン管理ツールの利用およびテスト駆動開発等の実践的な内容を付加した教材を開発し、それを利用する教育カリキュラムに仕上げた。

実務的な開発ツールを使った実践的な教育プログラムは少ないことから、非常に大きな期待と評価を得ることができた。しかしながら、実証研修への参加者数は、当初受講希望者の3割程度であった。10日間連続の研修会は、受講者を派遣する開発現場の負担が大きく、より短い期間に区切って回数を分ける工夫を要望された。

 

このような教育プログラムおよびそれを使った研修の実施は、この技術の教育を開始したばかりの専門学校教員の技術力アップと教育方法の獲得に繋がるし、新しい取り組みへの支援としても大きいものとなる。また、この技術の各地域の企業や専門学校への展開も促進されることになる。

 

ⅱ)開発された教育プログラム(又は教育カリキュラム)の内容
1)体系的な中級教育プログラム(10日間程度)

目的:アジャイル型システム構築の中級技術者の育成

対象:

・前提:Ruby及びRuby On Railsの初級レベルの知識・技術がある者

・IT技術者(就業1年から3年程度)

規模: 1コマ2時間のコマシラバスを35コマ分

詳細:

・シラバスの内容は、受講前提となる知識・技術を整理したもの、達成目標の技 術・知識の定義、1コマ2時間のコマシラバスを35コマ分、実習課題の提示、授業シナリオとした。

・社会人技術者研修を対象とするため、初級レベルの知識・技術があることを前提とした。

・研修プログラム詳細(35コマ)

(1)Rubyを用いたアジャイル開発【10コマ】

(2)Ruby on Railsを用いたアジャイル開発【25コマ】

・ツールは、github (コード管理)、cloud9 (IDE)を使用することを前提とした。

・環境は、Rails5、PostgreSQLを使用した。

・研修プログラムは、A4版 40ページ程度の冊子にした。

 

2)Ruby中級教材

目的:教育プログラム実施で使用するRubyの実践的な教材

対象:

・前提:Ruby及びRuby On Railsの初級レベルの知識・技術がある者

・IT技術者(就業1年から3年程度)

規模:Ruby教材 10コマ 20時間程度 A4版 80ページ程度

詳細:

・市販されているような解説書ではなく、実際のシステムに利用されているモジ ュール等を例示したものとした。

・社会人技術者研修を対象とするため、初級レベルの知識・技術があることを前提とした。

・内容:Rubyを用いたアジャイル開発【10コマ】

・Rubyのリファレンスを収録した。

・ツールは、github (コード管理)、cloud9 (IDE)を使用した。

・環境は、Rails5、PostgreSQLとした。

・教材の演習に用いるソースコードを作成した。

・教材は、A4版 80ページ程度の冊子にした。演習のソースコードはCD-ROMに収録し、教材冊子に添付した。

 

3) Ruby on Rails中級教材

目的:研修プログラム実施で使用するRuby on Railsの実践的な教材。

対象:

・前提:Ruby及びRuby On Railsの初級レベルの知識・技術がある者

・IT技術者(就業1年から3年程度)

規模:Ruby on Rails教材 25コマ 50時間程度 A4版 180ページ程 度

詳細:

・市販されているような解説書ではなく、実際のシステムに利用されているモジ ュール等を例示したもの。

・社会人技術者研修を対象とするため、初級レベルの知識・技術があることを前提とした。

・内容:Ruby on Railsを用いたアジャイル開発【25コマ】

・ツールは、github (コード管理)、cloud9 (IDE)を使用した。

・環境は、Rails5、PostgreSQLとした。

・教材の演習に用いるソースコードを作成した。

・教材は、A4版 120ページ程度の冊子にした。演習のソースコードはCD-ROMに収録し、教材冊子に添付した。

 

4)平成27年度の開発

・Rubyの初級教材

目的:実習環境の設定、言語理解および演習課題学習がスムーズに運ぶための初期資料

概要:15時間相当の講座を想定したテキスト(88ページ)を作成した。

C言語、Java等のプログラムを習得したものがRubyの基礎技術を習得するための教材。

・Ruby on Railsの初級教材

目的:実習環境の設定、演習課題学習がスムーズに運ぶための初期資料

概要:15時間相当の講座を想定したテキスト(58ページ)を作成した。

Rubyを習得した者がRuby on Railsを学習するための教材。

何れかのプログラムを習得している社会人対象の講座に使用。

・最新ICT利用者リテラシー教育教材

目的:アクティブラーニングで活用できるものとして作成

概要:12時間相当の講座を想定したテキスト(40ページ)を作成した。

アクティブラーニングで活用できるものとして作成

e-learning教材としても活用できるようスライド形式で作成

・アクティブラーニングのファシリテータ育成教材

目的:ファシリテータ研修で使用する教材・資料

概要:12時間相当の教員対象の研修会で使用するテキスト(145ページ)を作成した。

アクティブラーニングのファシリテータを育成するものとして作成

教員が現場で利用できるスライドとワークシートを付加した。

 

 ⅲ)実証講座の実施状況
・社会人・専門学校教員の技術研修(大阪)

目的    :社会人および専門学校教員の技術力・知識の中級へのレベルアップ

対象    :社会人技術者および専門学校教員

参加数 11名 (内企業からの参加 11名)

概要    :

1)日時:

  • 第一部:Rubyによるアジャイルソフトウェア開発

2017年1月16日(月)9:30~18:30

2017年1月17日(火)9:30~18:30

2017年1月18日(水)9:30~18:30

  • 第二部:Ruby on Railsによるアジャイルソフトウェア開発

2017年1月19日(木)9:30~18:30

2017年1月20日(金)9:30~18:30

2017年1月23日(月)9:30~18:30

2017年1月24日(火)9:30~18:30

2017年1月25日(水)9:30~18:30

2017年1月26日(木)9:30~18:30

2017年1月27日(金)9:30~18:30

2)場所:

サンケイカンファレンス大阪梅田

住所:〒530-0001 大阪府大阪市北区梅田2丁目5−2 新 サンケイビル 6 階