文部科学省 平成29年度「専修学校による地域産業中核的人材養成事業」

事業の内容等

(1)本年度事業の趣旨・目的等について

ⅰ)事業の趣旨・目的

 急速に普及したスマートフォン・タブレットに代表されるモバイルデバイスは、通話やウェブを閲覧するためのデバイスから、位置情報や画像情報、心拍数等の生体情報といった多様なデータの取得・提供、コントローラといった様々な機能を担うデバイスに変貌しつつあり、そこで使用されるアプリケーションの重要性はますます高まっている。情報産業界では、進展するモバイルデバイスや多様化するユーザーの要求に対応できるアプリケーション開発技術者が不足しており、その育成が課題となっている。

 本事業は、産業界の人材ニーズが高いスマホアプリ開発技術者養成を推進する。特に首都圏地域で求められるクラウドサービスや人工知能の活用によるスマホアプリ開発技術者育成のため、既存技術者や社会人を対象とした学び直し教育プログラムの開発及び実証講座を行う。また、昨年度までの事業成果を活用し、協力校での実証講座を通して他の地域にも展開できる実務レベルの技術教材を整備・実証する。既存のIT技術者や社会人を対象とするため、学習機会の提供を目的にe-learningコンテンツ教材を整備する。最新技術に対応した社会人学び直しの教育プログラムの開発と実証を通して、スマホアプリ開発技術者育成を推進する。

 

ⅱ)目指すべき人材像・学習成果【A】/教育カリキュラムを受講した生徒が目指す人材像【B】

クラウド上やその他のあらゆるリソースを使用し、顧客ニーズに対応した次世代のスマートフォンアプリケーション開発ができる技術者

 

(2)本年度事業の内容

ⅰ)会議

会議名① 実施委員会
目 的 事業の統括管理
検討の

具体的内容

・事業方針策定、・プロジェクトの進捗管理、・各委員会進捗管理、

・予算執行管理、・評価委員会との連携

・各仕様書の内容検討と業者決定、・課題の検討、

・成果報告会企画運営、・成果の活用・普及

委員数 9人 開催頻度 年3回

 

会議名② 評価委員会
目 的 プロジェクトの評価
検討の

具体的内容

・評価項目、指標の検討、・成果物の評価、・実証内容の評価、

・プロジェクトの実施内容、成果物、成果の活用等の評価

委員数 3人 開催頻度 年3回

 

会議名③ 開発委員会
目 的 教育プログラム(教育カリキュラム、シラバス、教材、指導書)の開発の方針策定
検討の

具体的内容

・開発仕様の検討と策定、開発業者選定

・スマホアプリ開発技術(AI活用編)教育カリキュラムの内容、時間数、シラバスの設計の検討

・スマホアプリ開発技術(AI活用編)教材の領域・範囲・レベルの検討

委員数 4人 開催頻度 年4回

 

会議名④ 実証委員会
目 的 実証講座の実施運営、効果の計測
検討の

具体的内容

実証講座の概要(日程、時間、場所。講師等)の検討・調整から決定、効果の計測

・受講対象の募集方法、募集先等の検討

委員数 9人 開催頻度 年4回

 

開発する教育プログラム(又は教育カリキュラム)①

ア)名称

スマホアプリ開発技術教育プログラム

 

イ)開発する教育プログラム(又は教育カリキュラム)の全体的な骨格

●スマホアプリ開発技術(AI活用実践レベル編)教材

スマホアプリ開発技術とくにAI等を活用した最新技術の実践レベルを学習するための教材を開発する。(30時間)

平成28年度開発した教育カリキュラムに対応した教材内容とする。

平成28年度開発した教材の内容

※人工知能(AI)の基本と概要を理解し、AIを活用したアプリ開発技術を学習する。

人工知能概要、 Androidにおける人工知能例、 Androidの環境構築、 VisionAPIアプリの作成、○×ゲームの実装、思考ルーチン、ンダムで手を選択するAI、ルールベースで手を選択するAI、全検索で最善手を選択する○×ゲームのAI、プレイアウトで手を選択する○×ゲームのAI

平成29年度開発を予定している教材の内容

※AIの基本を押さえた上で、機械学習やディープラーニング等の理論を理解し、高度なAIの機能及びクラウド上のリソースを組み込んだアプリの開発を学習する。

機械学習の基本、ニューラルネットワーク概要、ディープラーニング概要、 Machine Learning APIの紹介、VisionAPI アプリの作成、TensorFlow、TensorFlowの環境構築、 TensorFlowの基本的な使い方、回帰分析、手書き文字解析、畳み込みニューラルネットワーク、画像解析、 Cloud Machine Learning概要、 Cloud Machine Learningの使い方、 AndroidでTensorFlow を動かす

●スマホアプリ開発技術(AI活用実践レベル編)講座コンテンツ

スマホアプリ開発技術(AI活用実践レベル編)教材を用いた講座を実施するための講座コンテンツを整備する。

●e-learning講座コンテンツ

平成28年度、29年度作成の講座コンテンツをもとに e-learningを開発する。

 

ウ)開発に際して実施する実証講座の概要

実証講座①・・・平成28年度開発教材の実証

○ 実証講座の対象者
既存のIT技術者、基本的なスマホアプリ開発技術を有する者

○ 期間(日数・コマ数)
3日間×1日6時間  平成29年7月~8月

○ 実施手法
講義と演習

○ 想定される受講者数
20名

○ 受講者のうち就業、キャリアアップ、キャリア転換につながる者の目標人数
8名

実証講座②・・・本年度開発する教材の実証

○ 実証講座の対象者
既存のIT技術者、平成28年度教材の実証講座受講者
スマホアプリ開発技術を有する者

○ 期間(日数・コマ数)
6日間×1日6時間  平成29年11月~12月

○ 実施手法
講義と演習

○ 想定される受講者数
16名

○ 受講者のうち就業、キャリアアップ、キャリア転換につながる者の目標人数
5名

実証講座③・・・本年度開発するe-learning講座の実証

○ 実証講座の対象者
既存のIT技術者、平成28年度教材の実証講座受講者
スマホアプリ開発技術を有する者

○ 期間(日数・コマ数)
平成29年12月~平成30年1月

○ 実施手法
e-learning

○ 想定される受講者数
100名

○ 受講者のうち就業、キャリアアップ、キャリア転換につながる者の目標人数
10名

 

エ)教育プログラムの有効性に関する検証手法の概要(職域プロジェクトAのみ)

開発する教育プログラムの検証は、実証委員会がアンケートや評価指標に基づく計測を行い、教育プログラムの効果に関する評価については、評価委員会が実施する。

●既存のIT技術者、基本的なスマホアプリ開発技術を有する者について

講座実施前に技術レベルに関する自己申告によるレベルを提出いただき、受講後にアンケート及び達成度評価指標による自己評価、講師評価を実施、その比較により、教育プログラムの効果を評価する。

また、講座については、教育プログラムの開発企業及び評価委員会委員により、立ち合い視察を行い、講師の指導や受講者の参加意識等についても状態を把握し、評価に反映する。

e-learningについては、受講開始から完了までの期間、指導履歴等を把握し、評価に反映する。

受講後の変化の継続的な検証については、スマホアプリの開発、google等へのアップの本数、ダウンロードの件数等を評価指標として、情報収集可能な体制を構築する。

●委託期間終了後の体制

参加等の連絡先、所属機関の人事連絡先等を管理し、継続的な状況の確認等のため、事業終了後も本事業の実施委員会は継続的な活動を行う。このため、業界団体等と連携して、受講者の状態が追跡可能な状態を維持する。

 

ⅳ)「女性の学び直し」に対応した取組内容等(実施体制、プログラムの構成、環境配慮等)

 

(3)事業実施に伴う成果物(教材、シラバス、達成度評価基準等。成果報告書を除く)

●スマホアプリ開発技術(AI活用編)教材

●スマホアプリ開発技術(AI活用実践レベル編)講座コンテンツ

●e-learning講座コンテンツ

 

(4)本事業終了後(※)の成果の活用方針・手法 

 ●教育カリキュラム・教材本校夜間部 社会人を対象とした講座実施に活用する。

  • 事業参加及びIT系の専門学校に社会人対象の講座実施を促進する。
  • 本校正規課程の教育カリキュラム・教育教材に導入をする。
  • 事業参加の専門学校の教育教材としての導入を促進する。
  • IT系の教育を行う専門学校へ教育教材の導入を促進する。

事業参加の専門学校については、平成28年度の成果物を1校の専門学校で本年より導入・活用している。他の専門学校からも問い合わせや授業の見学についての問い合わせを受けている。

また、一般社団法人全国専門学校情報教育協会の研修として教員研修会を実施し、他の専門学校への導入を促進する。

●e-learning講座

・研修企画会社等の講座としての登録や、無料講座のポータルサイト等に登録し、受講者の獲得を目指す。

・一般社団法人全国専門学校情報教育協会の協力のもと教員研修会においてファシリテータを養成し、参加教員の所属する

専門学校においてe-learningの導入を促進する。

●教員の育成

・一般社団法人全国専門学校情報教育協会の研修として教員研修会を実施する。

・本校の実施する夏期研修会で研修会を実施し、成果を活用する

●体制

上記活動を、委託事業終了後の継続的に行うためには、本事業の成果の活用・普及および教育プログラムの更新を行うことを目的とした組織体制の構築が必要である。このため、本事業の実施委員会委員と一般社団法人全国専門学校情報教育協会が連携して、e-learning講座の実施運営・教員の育成、カリキュラム・教材の更新を行う体制を構築する。

また、業界団体との連携を強化し、スマホアプリ開発技術者のネットワークを構築し、

事業終了後の成果の活用・普及を推進する。

 

 本年度事業と関連したこれまでの取組概要・成果及び本事業との継続性

ⅰ)取組概要

●平成28年度までの事業

本事業は平成25年度に整備した「スマホアプリ開発技術者養成の積上げ式モデル・カリキュラム」をもとに社会人の学び直しに活用できる教育プログラムの開発・整備を推進してきた。540時間のカリキュラムのうち420時間の教育プログラムを整備するとともに、新たな開発環境や技術に対応した教材の更新や社会人・女性の学び直しへの対応のためカスタマイズを行ってきた。

●平成28年度までの取組、実績

スマホアプリ開発のためのJava教材

テキスト及びe-learning(地域版社会人・女性の学び直し対象)

Android アプリ技術教材開発

基礎編、応用編、クラウドプラットフォーム編

教員の指導力向上のためのインストラクショナル・デザイン教材

地域版学び直し実証講座の実施

e-learningによる社会人・女性学び直し講座

Android技術実証講座の実施

教育力向上研修会の実施

スマホアプリ開発技術(AI活用編)教育カリキュラム開発

スマホアプリ開発技術(AI活用編)教材

スマホアプリ開発技術(AI活用編)講座コンテンツと解説書

●総括

これまで、標準のモデル・カリキュラムをもとに社会人学び直しに対応した教育カリキュラムへの再編成、教材の整備、指導者の育成、e-learningの整備を推進してきた。スマホアプリの技術は、日々進化し、新たな技術が出現している。

このため、最新の技術に対応しても1年後には、古くなっている。表面的なツールや技術ではなく、考え方やマインドの醸成、学び続ける姿勢等が必要である。社会人・女性の学び直しのためe-learningの整備を推進しているが、マネジメントシステムのセキュリティ等の問題で、広く活用するには至っていない。今後、上記課題を解決し、事業成果の普及・活用の促進を行い、スマホアプリ技術者の養成を行う予定である。

●平成29年度への反映

①平成28年度に開発した教育カリキュラムの上級部分の教材を開発する。

②平成28年度開発教材の実証講座を実施し、教材を精査するとともに本年度教材の開発に活用する。

③教材については、AI(最新技術)を対象に開発を行うが、クラウド上、他のあらゆるリソースを活用できることを目標できるよう工夫をする。

④平成28年度に開発した講座コンテンツを活用して、e-learningを開発し、広く活用、講座実施が可能なものを作成する。

 

ⅱ)開発された教育プログラム(又は教育カリキュラム)の内容

●スマホアプリ開発技術(AI活用編)教育カリキュラム
クラウド上やその他のあらゆるリソースを使用したスマホアプリ開発のための社会人学び直し教育カリキュラム及び達成度評価指標を開発した。
60時間(30時間×2学習ユニット)のカリキュラムを整備した。

●スマホアプリ開発技術(AI活用編)教材
スマホアプリ開発技術とくにAI等を活用した最新技術の応用を習得するための教材を開発した。(30時間)

●スマホアプリ開発技術(AI活用編)講座コンテンツ
スマホアプリ開発技術(AI活用編)教材を実施するための講座コンテンツを整備した。
・e-learning講座コンテンツ解説書
モチベーション向上、進捗状況から受講継続を促進するための講座の進め方等を解説した解説書を作成した。

 

ⅲ)実証講座の実施状況

平成28年度は、実証講座を実施できなかった。

平成27年度の実施状況

・地域版学び直し実証講座の実施

 目的 :昨年度のAndroid(Java編・基礎編・応用編)を活用し、本年度の内容を付加した講座を、本校と他地域で実施し、各地域の結果を比較検討して、地域版学び直し学習ユニットのカリキュラム、教材の精査をした。

 対象・概要:社会人及び専門学校学生。

         ※非ITエンジニア編

①平成27年8月18日 10:00~18:00
会場:日本電子専門学校 参加者 20名(社会人20名)

②平成27年11月14日 10:00~18:00
会場:東北電子専門学校 参加者 15名(社会人3名)

          ※Java編

①平成27年8月20日・21日 10:00~17:00
会場:日本電子専門学校 参加者 16名(社会人16名)

          ※基礎編

①平成27年7月28日・29日 10:00~17:00
会場:日本電子専門学校 参加者 16名(社会人16名)

②平成27年12月5日 10:00~18:00
会場:東北電子専門学校 参加者 16名(社会人16名)

           ※応用編

①平成27年12月24日・25日 9:00~18:00
会場:東北電子専門学校 参加者 13名(社会人0名)

東京と仙台で地域版学び直し講座を実施した。東京は、高い技術を求める傾向があった。一方で仙台では個別の技術ではなく全般の技術を広く求められた。また、Web、クラウドの技術ニーズが高かった。スマホアプリ開発技術でも地域によるニーズの違いがあることが分かった。

・Android技術実証講座の実施

 目的 :開発するAndroid技術教材(クラウドプラットフォーム編)を用いて、社会人を対象に実証講座を実施し、領域、範囲、レベルの検証を行った。

      専門学校教員の技術更新の研修としても活用する。

対象・概要:社会人及び専門学校生

①平成28年2月13日・20日・21日 9:00~18:00
会場:東北電子専門学校 参加者 12名(社会人0名)

②平成28年2月15日・16日・17日 9:00~18:00
会場:東北電子専門学校 参加者 12名(社会人3名)

 社会人を対象とした場合、時間、日程等の工夫が必要である。教材の内容については、専門学校学生にはレベルが高く、当初の領域・範囲・レベルが適切であることを検証した。本講座でも東京と仙台のニーズに違いが明確となり、地域別の講座設計の課題となった

・教育力向上研修会の実施

 目的   :昨年度整備した教育力向上の研修カリキュラム、教育教材を用いて、教員を対象に研修会を行い、カリキュラム・教材精査するとともに教員の教育力向上を図る。

 対象  :社会人 参加者9名(社会人9名)

 概要        :平成27年8月18日、19日 10:00~17:00

 会場        :日本電子専門学校

高等学校の教員を対象として、インストラクショナル・デザインの研修を行った。

今後の教員研修に活用できる領域の追加を行い、範囲・レベルの検証ができた。

・e-learningによる社会人・女性学び直し講座

 目的  :整備するe-learningコンテンツを用いて、e-learningを実施した。
e-learningのシステムは本校のシステムを活用する。

e-learningによる社会人・女性学び直し講座を実践し、技術育成を推進する。また、e-learningの実施・運営を通して、e-learningの課題等を検証した。

 対象  :専門学校生 参加者30名(社会人9名)

 概要   :平成27年12月~平成28年1月  e-learning

LMSの関係で学外の受講が困難だったため、本校学生での実証講座となった。

難易度や操作性等について、適切性を検証した。社会人、女性の学び直しに活用するためにはLMS等の環境整備が必要となる。また、有料での提供も検討の必要があることが分かった。